クライアント様に対して

このインタビューは歯科医師植田憲太郎の考え方や事業への理念を知るために、一般社団法人医業保全協会(代表理事 待鳥秀峰)により聞き取りが行われ、2021年に記事が作成されました。(内容は当時のものです)
【クライアント様に対して】
話し手:植田憲太郎
聞き手:待鳥秀峰
編集:吉田馨
  • (待鳥)勤務医の先生を植田先生のところにドクター研修に出すようなパターンもありますよね。自分のやりかたとは違う方法を学ばせるということは、ある意味リスクです。その勤務医の先生に、本当にためになるかどうかも、わかりません。

    よくある話かと思うのですが、社長がある程度の権限をもっているところで、社員を教え育てていくとなったとき。従来ワンマンでやってきた社長からすると、もうひとりアタマができることになる。そのとき自分の権威がいかにして損なわれないようにするのか。権威を損なわないで、よい形にまとまってくれるのか…。
  • (植田)クライアントの院長の考え方は、基本的には否定しません。相手の先生が希望しておられる医院経営に、寄り添うようにしています。医院の運営方針を変えることは、まずしません。お預かりする先生はその中で働いていかれるわけですから、その医院の方針に則って動くように提案します。私の性格からくるものだと思います。
  • (待鳥)「喧嘩はきらい」ですね。
  • (植田)はい。相手の基本方針を尊重するのは、コンサルタントとしても守るべきことだと思っています。意見を求められたら「こう思います」と言いますし、「世の中の流れを判断して、うちの医院ではこういう風にしています」とは言います。しかしうちの医院の事例が、そのままクライアントの医院に当てはまるとは限らないと思っています。だから元々ある考え方や文化を否定したいとは思いません。
  • (待鳥)地域差もありますよね。
  • (植田)そうですね。患者さんの考え方は地域によってかわります。

    東京では当然のように、自由診療でするものだと思っている患者さんが多いです。先日東京から大阪に来られた患者さんがおられたのですが、自由診療を選択するのが当然と思われていて「東京ではこれ普通です」と言っておられました。

    地方でも案外、「先生がそう言われるなら」と、自由診療を受け入れて下さるところが多いこともあります。地域の方々の考え方は、それぞれ違うと思います。実際にクライアント先へ行くと、わかります。同じ広告を出しても、患者さんの反応が違います。
  • (待鳥)日本各地にクライアントがおられるからこその視点ですね。

    植田先生は「指導者」としてクライアントの医院へ教えに行かれます。そこにはクライアントの院長の理解がとても重要だと思います。他所の先生にドクターを預けることができる院長は度量が広いと思います。
  • (植田)私が教えに行く医院は、経営者の先生に治す気がちゃんとあるところです。時間をかけて患者さんに向き合う気がある先生ばかりです。間違った心で稼ごうとしているところへは、呼ばれません。呼んでくださるのは、組織としてもきっちりした医院ばかりです。